青年海外協力隊の実態

青年海外協力隊の実態を自分の体験から語りたい。

しかし、その前に言いたいことがある。

「青年海外協力隊 実態」
とネット検索した時に、一番上(最近は三番目ぐらい)に出てくるサイトを見たことがあるだろうか。

「これが青年海外協力隊の実態だ!」
日本のODAを監視する市民ネットワーク
http://jica.fanspace.com/

このサイトの目的は要するに、青年海外協力隊は税金の無駄使いだからいますぐ廃絶しよう、ということである。

このサイトは最終更新日が2004年06月13日だから、10年前のサイトである。
この「日本のODAを監視する市民ネットワーク」も現在活動しているのか怪しい。
サイトにあるリンクも切れているから、作者は作りっぱなしで管理していないと思う。
しかし、ずっと検索上位にいるので、これを読んで協力隊のイメージを悪くする人はかなりの数になるはずだ。
協力隊員OBとしてこれは放っておけない。

このサイト、別に全否定するつもりはない。
青年海外協力隊は確かに税金で運営されていて、その費用対効果については様々な意見があるだろう。
書かれてあるJICA職員の不祥事は事実なのかもしれない(確認できないが)。

ただし、様々なJICA関係者や協力隊員と実際に関わった私の実感からかけ離れている。
喧嘩を売るわけじゃないが、ちょっとツッコミを入れさせて欲しい。

冒頭部

日本青年の鑑(かがみ)とまでいわれている青年海外協力隊。

ツッコミ:そんなこと言われたことないが…。

誰もが一度は憧れる青年海外協力隊。

ツッコミ:いや、憧れる人は極一部でしょう。

毎年死んでる青年海外協力隊員
300人に1人の青年海外協力隊員が確実に死んでいる。
毎年世界中のどこかで事故や病気などにより青年海外協力隊員が命を落としています。
そして、この事実は隠蔽され、問題点はいつまでたっても解決されないままです。

ツッコミ:別に隠蔽はされてない。
派遣前訓練で隊員の死亡事例も含めた安全教育がある。
青遺海の会という青年海外協力隊で亡くなった隊員の遺族の会の講話もある。
あと、厚生労働省の人口動態統計月報年計を見ると、日本の20歳から40歳までの人が1年間で死亡する確率は50人/10万人程度だ。
2年間だと、千人に1人が死亡する計算だ。
300人に1人って、確かに日本にいるより高いが、途上国だとそんなもんだろう。

国際協力事業団(JICA)とは外務省筋の外郭団体で、毎年、外務省、大蔵省などから多くの官僚が天下りしています。毎年、出入りの業者との癒着が問題になっていますが、日本の商社、土建会社から見れば「おいしい」話がゴロゴロしてる、いい加減な団体です。毎年数兆円もの税金をたれ流している元凶ですが、今まで追求のメスが入らなかったのが不思議です。

ツッコミ:いや、JICAの予算は年間1,500億円ぐらいなので、毎年数兆円の税金を垂れ流すのは無理。

日本社会では使い物にならないような、どうしようもない人間が外国のJICA事務所に派遣されています。管理の甘い海外事務所では、横領、怠業、暴力事件、は日常茶飯事です。

ツッコミ:いや、私の見た限りJICAの職員は優秀な人が多い。むろん、ダメな職員もいるだろうが、多くはないはずだ。
「横領、怠業、暴力事件、は日常茶飯事です。」→なんでやねん。おまえ見たんか(苦笑)。

協力隊員を派遣するにあたって、現地の治安状況などを十分に調査する必要があるのですが、実際には非常に危険な地域であっても協力隊員が派遣されています。犯罪に巻き込まれた隊員は、誰にも訴えることができず、泣き寝入りです。「犯罪に巻き込まれるのは、自分が悪い」という、とんでもない理屈で、JICAは責任を一切とりません。そんな危ない地域に協力隊員を派遣したのは、いったい誰なのでしょうか?

ツッコミ:このサイトは外務省・JICAの省益のために協力隊員が犠牲になっている、と言いたいようだ。
まあ、何らかの利権はあるのかもしれないが、そんな短絡的に外務省・JICAが悪と言えるのだろうか?

確かに、何らかの犯罪に巻き込まれたりする隊員はいる。
しかし、協力隊の派遣先は日本より危険な地域であることはすべての隊員が承知していること。
ただ、派遣先は途上国といえど、政情は安定している国ばかりだ。危険になったらすぐに退避命令が出るし、現地のJICA事務所は仕事をしてるよ。

ほかにもツッコミどころ満載だが、これぐらいにしておく。

JICA職員や協力隊員にもマズイ人はいるだろう。
利権もあるかもしれない。
私にはそんな大きな話は分からないが、経験者から言わせてもらえば、現地のJICA職員や協力隊員は日々苦労しながら地道に活動している普通の人だ。
青年海外協力隊は税金を使っている事業だから、不正を糾弾する意義は理解できる。
しかし、このサイトの内容はあまりに一面的すぎるし、私に言わせれば、実態をまったく知らないのに書いたとしか言いようがない。

JICA・青年海外協力隊を調べてみたら素晴らしい評価はほとんどなくて不祥事だけがワンサカ見つかって、その結果、悪と判断し、断罪するならわかるが、これは逆だ。
まずJICA・青年海外協力隊が悪と決めつけて、それに沿う材料を見つけて書いているだけだ。しかも、指摘したように間違いや誤解も多いし、とにかくJICA・青年海外協力隊を貶めたいだけのサイトだと思う。
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●青年海外協力隊の実態(個人的体験談)
seruan青年海外協力隊員は海外で活動しているし、一般の日本人からすれば実態がよくわからず、「あいつら何やってんの?」という感じだろう。
また、ステレオタイプのイメージを持っている人もいる(例えば協力隊員なんて外国で2年間遊んで帰ってくるだけとか)。

誤解されていることも多いと思うので、これから私の実際に見聞きした範囲での青年海外協力隊の実態を書いてみる。

隊員には高邁なボランティア精神を持っている人は稀である。
私を含め、ほとんどの隊員は、海外に住んでみたい・仕事をしてみたい、といった素朴な理由で参加している。

動機はともかく、現地では真面目に活動している隊員がほとんど。
フィジーで数十人の隊員と話をしたが、活動せずに2年間遊びっぱなし、という隊員は皆無だった。

というか、それはかなり難しいと思う。
仕事場に全く行かなかったら、現地JICA事務所に連絡が行くだろうし、隊員のお目付け役の調整員からお叱りを受けるはずである。
そもそも、隊員が派遣される途上国には遊ぶ所が少ないから、2年間仕事しないとなると退屈で仕方ないと思う。
ただ、仕事もしつつ、よく遊んでいる隊員は多い。それは別に日本だろうが途上国だろうがいいよね。

病気になったり怪我をしたりする隊員はいる。しかし、JICAのサポートもあるし、身近では死亡した隊員はいない。
ただし、病気や怪我で途中帰国した隊員はフィジーでも4,5人いた。
やはり途上国なので日本にいるより病気や怪我のリスクは高いのは仕方ない。

犯罪にあう隊員は少なくない。
ほとんどが盗難だ。
しかし、家の戸締まりをするとか、外出先では荷物から離れないと、か夜道を一人で歩かないとか、基本的なことを守っていればほとんど防げる。
殺人とか、深刻な犯罪はフィジーでは聞いたことがないし、他国でもかなり少ないと思う。

帰国後はほとんどの隊員が数ヶ月以内に再就職を果たしている。
就職する気があって、どこにも就職出来なかった人は身近にはいない。
協力隊に参加したせいで人生が転落した人は身近では聞いたことがない。
また、JICA関係の仕事に就く人もたまにいる。

現地のJICA事務所の人は、フィジーの場合だが、くせのある人はいたけど、大体はいい人だったし、世話になった。家に呼んでもらったり、ご飯を御馳走になったりもして感謝している。
隊員をまとめる企画調査員(調整員)は元隊員が多く、いろいろ分かってくれた。
まあ、人と人とのことだから、相性もあるし、色々言われいている調査員もいたが、さっきのサイトに書いてあるような、ヒドい職員は稀だと思う。

肝心の、隊員は本当に派遣国の役に立っているのか、という点については半分だけYESと応えたい。
私個人のことを言えば、やる気はあったが、実力が足りなかった。
最後には同僚から感謝の言葉をかけてもらったし、少しは役に立てたかなとも思うが、胸を張って自分の業績を誇れるレベルではない。
ただし、かなり大きなことを成し遂げた隊員もいるし、全体的には派遣国に良い影響を与えていると思うし、日本のイメージアップにつながっていると思う。

じゃあ、少なくない額の税金を使ってまでやる意味があるのかというと、まあこれも一応YESだと思う。
費用対効果を計算するのは難しいし、論拠は個人的な思いだけなのだが、一応、派遣先では隊員の活動は評価されているし、世界での日本のプレゼンスを示す意味でもやめてしまうのはもったいない。
まあ、これは色んな意見があると思うし、これ以上述べない。

最後に、青年海外協力隊は変人が多いと言われているが、そうだろうか。
変人と言われるほど個性的な人は全体の1割いるかいないかだと思う。そしてその1割の人が、協力隊員=変人、のイメージを作り出していると思う。
数十人のフィジー隊員と話したが、これは変人だな、と思ったのは2人だけだ(でも面白いから皆からは好かれていた)。
また、現地では髭モジャモジャでいかにも変な人、という風体の隊員も、帰国後はさっぱりしてスーツ来て会社に行ったり、切り替えしている人がほとんど。
帰国して日本社会に適応出来ないという人はあまり多くないと思う。

青年海外協力隊の実態だが、全体的にそんな驚くようなことはない思う。隊員だってほとんどが普通の人だし、JICAスタッフだってそう。
あまり色眼鏡で見られたくないなあと思う。

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2 Responses to “青年海外協力隊の実態”

  1. 元ネパール隊員 より:

    上記反論誠にありがとうございます。
    私自身そのサイトに対して言いたいことが色々ありました。代弁して頂きありがとうございます。

    • vinaka より:

      元ネパール隊員さん

      いえいえ(^^)
      それにしてもあのサイトは早く検索圏外に消えてほしいです。

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